古典クンチャーン・クンペーンその1:
- somutamu

- 2025年9月11日
- 読了時間: 11分
ワット パー レーライ ウォラウィハーン
スパンブリーにある1200年の歴史を持つ「ワット パー レーライ ウォラウィハーン」には大きな仏像の他に回廊にはタイの古典「クンチャーン・クンペーン」の物語が描かれています。

地図
拝観時間
月曜日ー金曜日:朝8時から夕方5時まで
土曜日ー日曜日:朝8時から夕方6時まで
壁に描かれた壮大な物語
この「クンチャーン・クンペーン」は16世紀のアユタヤ王国がチェンマイ王国に勝利をもとにスパンブリーの主人公達の長編叙事詩が口伝により伝えられてきました。

その後、文豪でもあったラーマ2世(在位1809年ー1824年)は大詩人であったスントーンプーなど文豪グループを集結して「クンチャーン・クンペーン」の編纂を始めました
そしてラーマ3世(在位1824年ー1851年)も協力したことで完成し、本来は38章物語が編纂により書き加えられ全部で43章の2万行にも及ぶタイ文学を代表する一つです。

お足元にはお気をつけください

クンチャーン・クンペーン その1
スパンブリーの三つの家族
アユタヤ王国の時代、スパンブリーに屋敷を構える将軍クン・クライの妻が身籠り、夢占によると賢く勇敢で武勇に優れ美男子の男子「クンペーン」が生まれました。
しかし、クン・クライはアユタヤ国王との狩りで失態を犯したことにより自死し、財産は没収となったためクンペーン母子は母の実家のカンチャナブリに移住を余儀なくされました。

同じころスパンブリーに裕福な商家クン・シウィチャイの家に夢占いでは存在するだけで莫大な金運をもたらす男子「クンチャーン」が生まれました。
しかし、家に押し入った強盗によりクン・シウィチャイは殺害されてしまいました。

また、同じころスパンブリーでも裕福なファン・ソニョタの家に夢占いでは絶世の美人の「ワントーン」が生まれました。
しかし、ファン・ソニョタは長旅から帰ってきた後に病気で亡くなってしまいました。

三人の主人公
母の実家があるカンチャナブリに移住せざるを得なかったクンペーンですが、修行していたお寺の住職はクンペーンの賢さに驚きました。
そこで住職の勧めもありクンペーンの母親はさらに高い教育を受けさせるべく、亡き夫の知り合いの高僧がいるスパンブリーのお寺にてクンペーンを修行をさせることにしました。
こうしてスパンブリーのお寺でクンペーンは修行の他に軍略や武術、魔術を体得しました。

同じころ父を失ったクンチャーンですが持って生まれた金運により都アユタヤまで知られるスパンブリーの大富豪となります。
またワントーンもスパンブリーでは誰もが目を見張る絶世の美女に成長しました。
大富豪のクンチャーンは財力をもって絶世の美人のワントーンを妻にと何度も言い寄りますが、ワントーンはクンチャーンの容姿を毛嫌いする日々が続いていました。

タイでは毎朝僧侶が托鉢を行う習慣があります。
そんなある日の朝、ワントーンは托鉢を行う美男子の修行僧を見かけます。それは幼馴染のクンペーンの姿でクンペーンも幼馴染のワントーンを見つけ二人は恋に落ちました。
そしてクンペーンは還俗し二人は結婚します。

戦場へ赴くクンペーン
そのころアユタヤの王宮にタイ北部の同盟国チェントーンがチェンマイ軍により包囲されたことによる救援の早馬が届きました。
この報を受け、アユタヤ国王はすぐに救援部隊を送ろうとしますが、野戦向き司令官がいないことで困っていました。
側近:
「陛下、亡き将軍クン・クライの子息クンペーンはいかがでしょうか、聞けば軍略だけでなく武術や魔術も優れているとのこと」
とのことで、新婚2日目にもかかわらず都アユタヤからクンペーンへ司令官に任命された伝令がスパンブリーに届きます。
当初、クンペーンは困惑しますが、亡き父の名誉回復のためにこの任を受けます。
当時の戦では対陣が長く場合によっては何年もかかり、戦死だけでなく戦病死する確率も高いためワントーンは心配のあまり泣きじゃくります。
そこでクンペーンはワントーンと義母をお寺に連れて行き、3本のガジュマルの木を指さして
クンペーン:
「こちらがワントーンの木、こちらが母上の木、真ん中にあるのが私の木だ、もしこの木が枯れなけれれば私は無事なので心配することはない」
と言い軍装を纏い戦場へ赴きました。

夫を待つワントーン
クンペーンの妻となったにもかかわらずワントーンのことが諦めきれないクンチャーンはクンペーンが戦場に行ったと聞いてあることにを思いつきます。
それはクンペーンが戦場へ赴き数カ月が過ぎたころ、クンチャーンがワントーンの家へ訪れワントーンの母親に、
クンチャーン:
「お母様気を確かに聞いてください、言いずらいことなのですがクンペーンが戦死したとの報が入りました、作戦に失敗した司令官の家族は罰としてすべての財産を没収されることをご存じでしょうか?」
とワントーンを妻にすべくウソを言いましたが、ワントーンの母親はクンペーンの戦死の驚きと財産没収の怖さから震え上がってしまいます。
クンチャーン:
「そこでお母様、私とワントーンを夫婦になるというのはいかがでしょうが、私も都の役人に顔が効きますゆえクンペーンの妻がワントーンであったことなど賄賂でどうにもなります」
これを聞いたワントーンの母親は財産没収が免れ、クンチャーンの莫大な財産に目が眩んだことで二人の結婚を認めてしまいます。

しかし、ワントーンはクンペーンの戦死の報を信じず、
ワントーン:
「もしクンペーンが戦死したらなあのお寺のガジュマルの木が枯れているはず」
この話を床下で盗み聞きしていたクンチャーンは手下の者をお寺に行かせそのガジュマルの木を切ってしまいます。
翌朝、ワントーンと母親はお寺に行きました。そこで不自然に切られたガジュマルの木を見たワントーンは
ワントーン:
「クンペーンはまだ生きている」
とクンチャーンのと結婚を拒絶します。
しかし、財産没収と恐れとクンチャーンの財産に目が眩んだ母親は聞く耳を持たずにワントーンを結婚式が開かれてしまいました。
それでもワントーンは戸板をつかんで結婚式に出ず、その夜、業を煮やした母親の鞭を打たれたワントーンはクンチャーンのいる部屋に放り込まれてしまいました。

すべてを失うクンペーン
このころ戦場に赴いたクンペーンは北部の戦いに勝利を収め、クンペーンに指揮された兵士は秩序があり乱暴な所業がなかったことから、チェントーンにある村長の娘のラオトーンを側室にもらいうけます。

こうしてクンペーンは都アユタヤに凱旋後にスパンブリーへ戻りますが、家はもぬけの殻、聞けばワントーンはクンチャーンの妻となったと、、、
激怒したクンペーンは急ぎクンチャーンの家へ
クンペーン:
「夫が戦場に行っている間にクンチャーンの妻になっているとはどういう了見だ!!!」
ワントーン:
「あなたこそ私の心配をよそに側室を迎えるとはどういうつもり!!!」
と二人は激しく罵りあい、怒ったクンペーンは母の実家のカンチャナブリに帰ってしまいました。

このころ王宮では新たな人材を探しており、戦功のあったクンペーンと貴族達からの推薦があったクンチャーンが側近として取り立てられます。
こうして側近として王宮に勤めていたクンペーンですが、実家のカンチャナブリからラオトーンが重病である知らせがもたらされます。
これを聞いてすぐにでもラオトーンの看病に駆け付けたいクンペーンですが、王宮の務めのためにカンチャナブリに行くことができない悩みをクンチャーンに打ち明けます。
クンチャーン:
「それは心配だな、すぐにでもラオトーンの看病に行ったほうがいい、陛下には私から伝えておくので何も心配はいらない」
これを聞いたクンペーンは急ぎ王宮の塀を乗り越えカンチャナブリに向かいました。
しかし翌日、、、
クンチャーン:
「陛下、大変なことが起きました。こともあろうにクンペーンが妻の恋しさから務めを放り出しカンチャナブリに帰ってしまいました」
これを聞いたアユタヤ国王は激怒しクンペーンの役職を取り上げ財産を没収し、ラオトーンを後宮に閉じ込め二度とクンペーンに会うことができないようにしました。

山での出来事
全てを失ったクンペーンはワントーンを取り戻す決意をしますが、魔術の力がまだまだ未熟であることから山での修行を始めます。
こうして山での修行の最中にクンペーンは山賊の頭と親しくなりました。
そんなある日、クンペーンは盗賊を頭と共に山に狩りに行きます。
このとき一頭の巨大な水牛が盗賊の頭をめがけて向かってきますが、危ういところでクンペーンが一撃で巨大な水牛を倒してしまいます。
これに驚いた盗賊の頭はクンペーンを婿とすべく自分の娘を与えます。
数か月後に盗賊の娘はクンペーンの子供を身籠りますが、強盗に加わろうとしないクンペーンに怒った盗賊の頭が
盗賊の頭:
「やい、クンペーン、村々を襲わずいつまで無駄飯を食っているつもりだ!!!」
と罵ると
クンペーン:
「私は村々を襲い人を村人を困らせるなど、そんな非道なことはできない!!!」
盗賊の頭:
「何をキレイごとを~!!! 者ども無駄飯いのクンペーンを痛い目に合わせてやれー」
と総勢50人で刀や槍でクンペーンを切りつけますが、強力な魔術のためにこれらの攻撃がまったく効かず、
この様子に驚いた盗賊の手下からは「クンペーンを新しい盗賊の頭へ」とささやくものまで出てくる始末、、、

すっかり面目を失った盗賊の頭は娘にクンペーンを毒殺を命じますが、これに感づいたクンペーンはその夜、娘の腹を裂き胎児を取り出します。
そして、取り出した胎児に魔法をかけ守護霊クーマートーンとしました。

こうして山を降りたクンペーンは町にて愛馬と愛刀を手に入れワントーンを奪い返すべくスパンブリーに愛馬を走らせます。

クンペーン追討令
こうして強力な魔術の力をつけたクンペーンは深夜に魔術をかけクンチャーンの家へ乗り込みクンペーンの養女であるケオキリヤーを魔術で手籠めの後にワントーンを奪い返します。

翌朝、ワントーンを奪い取られたクンチャーンは手下500人でクンペーンを挑みますが、さらに強力になったクンペーンの魔術に敵うことなく手下は全滅、、、

這う這うの体で逃れたクンチャーンは王宮に駆け込み、、、
クンチャーン:
「陛下、大変です、クンペーンが謀反を起こしました、直ちに討手の兵を!!!」
と5000人の兵が討手として送られますが、これもまた強力なクンペーンの魔術の前に手も足も出ずに壊滅させられてしまいます。
これを見たアユタヤ国王は全国の領主へクンペーン追討令を出しました。
こうして町に住めなくなったクンペーンはワントーンと共に森での生活を始めますが、やがてワントーンはクンペーンの子供を身籠ります。

ピチットの領主
ワントーンが身籠ったことで森での生活ができないことを悟ったクンペーンは自首すべく森があったピチットの領主の屋敷の門をくぐります。
クンペーン追討令を受け取っていたピチットの領主ですが、非常に人を見る目がある人物でクンペーンが謀反を起こす人物でないことを見抜き、
ピチットの領主:
「クンペーン殿、すべて話されよ」
と一部始終を聞いたピチットの領主は
ピチットの領主:
「クンペーン殿、わしが弁護をするので安心して裁きを受けられよ、陛下は公平な裁きをするので何も心配することはない」
とピチットの領主を共に都アユタヤに出頭したクンペーンの裁きが始まります。

この裁きで一部始終が明らかとなり、クンチャーンには莫大な罰金刑が科されたました。
一方、クンペーンは無罪とし以前の王宮での側近へ復職とワントーンを第一夫人、ケオキリヤーを第二夫人にすることが認められました。
クンペーン牢獄へ送られる
こうして無罪が証明され再び王宮での務め戻ったクンペーンですが、ラオトーンを戻してほしいと要望します。
これを聞いたアユタヤ国王は激怒し
アユタヤ国王:
「わしの裁きに不満があると申すか、この不埒者を牢獄へほうり込め!!!」
と、せっかく復職をしワントーンとケオキリヤーを妻に迎えたクンペーンは牢獄へ入れられてしまいました。

一方、クンペーンが牢獄へ入れられたことを聞きつけたクンチャーンは絶好の機会とばかりに手下を使って外出したワントーンをさらって自分の妻にしてしまいました。
続く




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