古典クンチャーン・クンペーンその3:クムクンペーン
- somutamu

- 9月15日
- 読了時間: 7分
スパンブリーにはタイの古典クンチャーン・クンペーンにまつわる場所がいくつかあり「クムクンペーン」には物語の時代の建物や勇ましいクンペーン像が立っています。

地図
開館時間朝8時から夕方5時まで
(時間変更があります)
敷地内の様子
これらの建物は文学公園として1982年に建てられました。

このような造りになっており

こちらにはワントーンが祀るために女性物の服が納められています。

タイ文学を代表する物語であることから映画化もされていることから「クンチャーン・クンペーン」はタイ人にはよく知られています。

樹齢1000年と言われる木の下でクンペーンとワントーンが仲睦まじく座っており、このような雰囲気の中で古典クンチャーン・クンペーンの世界を感じてみてはいかかでしょうか。

クンチャーン・クンペーン その3
結婚式にて
チェンマイとの戦の戦功により貴族の称号を得たプライガムはピチットと領主の娘シマラーとチェンマイ王の娘のソイファーを嫁に迎えての結婚式が都アユタヤにて盛大に行われます。

しかし、これを聞いて面白くないのがクンチャーン、ワントーンが止めるのも聞かず呼ばれもしないのに結婚式に来て
クンチャーン:
「やい小僧、えらく出世をしたものだな~」
プライガム:
「控えろ下郎、私は貴族であるぞ!」
クンチャーン:
「ほう、そなたの育ての親を誰かを忘れたとでもいうのか」
プライガム:
「見よ!このように首筋に大きな傷跡が残るほど殴りつけるのが育ての親と申すか!!!」
とプライガムの拳が一閃クンチャーンの顔面をとらえます。

翌日、腹の虫が治まらないクンチャーンはアユタヤ国王に
クンチャーン:
「陛下、プライガムにつけられたこの傷を見てください、これが貴族がすることでしょうか」
と訴えたことにより裁きが開かれます。
当初、クンチャーンは役人に賄賂を渡せば大したことはないと腹をくくっていたのですが、この裁きの場にて今までのクンチャーンの悪事が明白となり極刑が言い渡されます。

しかし、この裁きを聞いたワントーン、若き日にはクンチャーンの容姿を嫌い、その後10年以上も前に無理やり妻させられたにもかかわらず、プライガムにその罪を許すよう願います。
それは長い月日の中でクンチャーンが自分を大切にしてくれるのを気がついたからです。
この願いにプライガムは母からの頼みということで不満ながらも罪を許したことでクンチャーンは釈放されました。
母への想いが悲劇へ
しかし、不満ながらも母の願いからクンチャーンの罪を許したプライガムですが、貴族となり再び母を共に暮らしたいとの思いが募るばかりでした。
そのような想いが募ったプライガムは深夜に魔術を使いクンチャーンの家に入り込み母のワントーンを連れ去ってしまいます。

しかし、プライガムに連れら去られたワントーンは
ワントーン:
「息子よ、何て大変なことをしでかしたのですか!!!」
と諫めますが、プライガムは聞く耳を持ちません。
一方のクンチャーンは翌日にワントーンを奪い去られたことをアユタヤ国王に訴え出ます。
何度も繰り返すワントーン、クンペーン、クンチャーンの争いに呆れたアユタヤ国王は3人の裁きに呼びつけ、ワントーンに問います。
アユタヤ国王:
「ワントーンよ、汝クンチャーンとクンペーンどちらを夫とするか」
この問いにワントーンは沈黙してしまいます。
それは、もしいずれかを選んだ場合、選ばれなかった方が罪に問われてしまうと思いからでした。
しかし、何も答えないワントーンを見たアユタヤ国王の口から予想もしない言葉が、、、
アユタヤ国王:
「答えられないということは、不貞の心があるということではないか、この不貞者を即刻処刑せよ!!!」

こうして即刻、刑場に連行されるワントーン
ワントーン:
「この処刑は私の前世の悪行の結果でしょう」
と言い処刑を受け入れる始末、、、
一方、刑場に連れされるワントーンを見たクンチャーンとクンペーンは自分たちの争いの結果の悲劇とワントーンを失う悲しみため何もできずにオロオロするばかり、、、
この居ても立っても居られない状況にプライガムは馬を疾走させ母を救うべく王宮のアユタヤ国王へ
プライガム:
「陛下、母が答えられなかったのは不貞の心ではなく、もし一方を選んでしまうともう一方が罪に問われるかもしれないとの思いからです、なにとぞご慈悲を!!!」
と必死の形相で訴えます。
このプライガムの必死の訴えを見たアユタヤ国王は即座にワントーンの無罪を言い渡します。
これを聞いたプライガム、激しく馬に鞭を打ち風のごとく刑場に急ぎます。
しかし、、、
プライガムが刑場についたときには虚しくも処刑が終わり、亡き母の姿がそこにあるだけでした。

ソイファーの嫉妬
ワントーンが亡くなってから数年後
プランガムは王宮での実直な勤にアユタヤ国王からの信頼を得ており、異母弟チュンポーンを王宮のしきたりを学ばせるためカンチャナブリから呼び従者としました。
また、家庭でも第一夫人シマラーと第二夫人ソイファーと仲睦まじく暮らしており穏やかな日々が流れていました。

しかし、一見すると穏やかそうな家庭でしたが、、、
プライガムとシマラーは一目見たときからお互い惹かれあった関係、
一方、ソイファーはアユタヤ国王からチェンマイへの勝利の証しとして嫁されたことでプライガムからの愛情が少ないと不満を感じていました。
そこでソイファーはプライガムの愛情を独り占めしたいがため、チェンマイ王から都アユタヤでソイファーの世話役として任された僧侶テンに
ソイファー:
「テンよ、プライガムが私だけに愛情を注ぐようにならないかしら」
相談しました。
ソイファーから相談された僧侶テン、実はかなりの魔術の使い手で
テン:
「姫様、そんなことは私の魔術を使えば簡単なこと!!!」
と人形を取り出しプライガムにソイファーのみ愛情を注ぐ魔法をかけました。

こうしてテンの魔法にかかってしまい人が変わってしまったプライガム、あれほど仲睦まじいシマラーに鞭を打つ始末、その様子を見たチュンポーン、
チュンポーン:
「兄上、おやめくだされ!」
とシマラーに鞭を打つのを止めに入ったチュンポーンまで鞭で打たれてしまいました。

その夜、途方に暮れるチュンポーン、、、
そのときチュンポーンの前にクンペーンの守護霊クーマートーンが現れ
クーマートーン:
「お兄様には困ったものだ、こうなればカンチャナブリのお母様のもとに相談に行こう、道中オイラがいるから心配ないさ」
こうしてチュンポーンはクーマートーンに伴われカンチャナブリに向かいました。

不和になるクンペーンとプライガム
こうしてクーマートーンに伴われカンチャナブリについたチュンポーンから、父クンペーンと母ケオキリヤーは突然人変わりしてしまったプライガムの様子を聞きました。
この母ケオキリヤー、実はスコータイの没落貴族の娘のであったことから
ケオキリヤー:
「よいか息子よ、スコータイにおまえのお爺様がおる、お爺様がいいお寺を紹介してくれるからそこで厳しい修行を積むのですよ」
こうしてチュンポーンは祖父のいるスコータイへ厳しい修行に向かうのでした。

一方、チュンポーンから事情を聞いたクンペーンはプライガムを説得するために都アユタヤに行きます。
しかしテンの魔法にかかってしまったプライガムは父の話に耳を傾けるどころか
プライガム:
「貴族の私に説教をするなんで、何て愚かな父なのだ」
クンペーン:
「自分が魔法にかけられていることにさえ気づかぬ愚か者め、こうなれば義絶だ!!!」
と二人は喧嘩別れとなりクンペーンはカンチャナブリに帰ってしまいました。
続く




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