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ポルトガル風タイのお菓子と日系人マリーギマルド

  • 執筆者の写真: somutamu
    somutamu
  • 7月31日
  • 読了時間: 4分

タイの市場を歩くと17世紀に日系人女性「マリーギマルド(1664年ー1728年)」が関わったポルトガル風タイのお菓子がたくさん売られています。

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日系人マリーギマルド

1597年、豊臣秀吉のキリスト教迫害により日本人で洗礼名イグネス・マルティンスという肥前国平戸の侍がアユタヤの日本人村へ定住しました。

アユタヤ日本人村
アユタヤ日本人村

このアユタヤ日本人村の対岸には

アユタヤ日本人村
アユタヤ日本人村

当時、キリスト教会があったポルトガル人村があり

アユタヤのポルトガル人村
アユタヤのポルトガル人村

その距離は約200mと小舟で行ける近さであったことからイグネス・マルティンスはポルトガル人女性と知り合い結婚しました。

アユタヤのポルトガル人村からの日本人村
アユタヤのポルトガル人村からの日本人村

二人の間には山田ウルスラという娘が生まれ、その後にウルスラはベンガル人と結婚したことにより1664年に「マリーギマルド」がという娘が生まれました。

アユタヤのポルトガル人村
アユタヤのポルトガル人村

アユタヤ王国ギリシャ人外交顧問の妻となる

1682年マリーギマルドはアユタヤ王国でギリシャ人コンスタンティン・フォールコンと結婚し二人の子供が生まれました。


この頃、夫のコンスタンティンは外交や貿易に大活躍しナーラーイ王からの絶大の信頼を得て官位を授かっていました。

フォールコンの邸宅跡/バーン・ウィチャエーン
フォールコンの邸宅跡/バーン・ウィチャエーン

しかし、フォールコンはナーラーイ王へキリスト教への改宗を勧めるなど度を越した行いが王宮からの反発を買っていました。


1688年、昏睡状態になったナーラーイ王を見てクーデターを起こした反外国人勢力で次王となるペートラーチャーが権力を掌握したことにより夫のフォールコンは処刑されてしまいました。

フォールコンの邸宅跡/バーン・ウィチャエーン
フォールコンの邸宅跡/バーン・ウィチャエーン

このクーデターでマリーギマルドは夫が懇意にしていたフランス人の将軍に海外逃亡の手助けを求めます。


しかし、フランス人の将軍はアユタヤにより商品が詰まった倉庫の焼き討ちを恐れ手助けを拒否したことによりマリーギマルドは捕まり2年間牢獄へ入れられてしまいました。

フォールコンの邸宅跡/バーン・ウィチャエーン
フォールコンの邸宅跡/バーン・ウィチャエーン

ポルトガルのお菓子を王宮に伝える

2年間の投獄を後にマリーギマルドは料理の才能があったことから王宮の料理番に取り立てられます。


それまでタイのお菓子は米粉とココナッツ、砂糖を材料としていました。


そこで料理番に取り立てられたマリーギマルドはアユタヤのポルトガル人コミュニティーで使われていた小麦粉、玉子、牛乳を材料としたお菓子を王宮に伝えました。

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こうした功績からターオ・トーンキープマーと呼ばれる官位とともに1703年まで王宮の菓子部門の責任者を務めました。


マリーギマルドは1728年に亡くなりますが、彼女がアユタヤ王宮に伝えたお菓子は現在でも市場などで売られています。

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マリーギマルドが関わったとされるタイのお菓子

現在でもタイの市場などで売っているマリーギマルドが関わったとされるお菓子をいくつかを紹介でします。


トーンヨ―ト

マリー・ギマルドはポルトガルのアヴェイロ地方発祥のお菓子オボス・モール・デ・アヴェイロにアレンジを加え砂糖、小麦粉、卵黄でトーンヨ―トを作りました。

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フォーイトーン

ポルトガル語で「玉子からつくられた糸」を意味するポルトガルのアヴェイロ地方発祥のお菓子にアヒルの卵と砂糖でアレンジを加えたものです。


史実でも当時の王妃がフォーイトーンを絶賛していた記録があります。


ちなみに日本にも安土桃山時代にポルトガルから伝わり卵黄に砂糖を流し込んだ南蛮菓子「鶏卵素麺」として老舗菓子店で作られています。

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トーンムアン

ポルトガルのお菓子の影響を受けた葉巻型のウエハースでタイ語でトーンと金を意味する言葉が使われていることから富を願う贈り物として使われることもあります。

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カレーパップ

ポルトガルのデザートのパステルにインド料理が混ざり合ったお菓子です。

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具材にはタロイモ、小豆、スイートビーンズ、チキンなどがあり、私も昼ご飯替わりに買うことがあります。

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カノムモーゲーン

カスタードプリンのようなタイのお菓子で材料にはタロイモやココナッツミルク、鶏卵かアヒルの玉子、砂糖またはパームシュガーなどが使われて様々バージョンがあります。


私も市場などでそれぞれアレンジされたカノムモーゲーンをよく買います。

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カノムピン

小麦粉、砂糖、卵黄、ココナッツミルクを混ぜたものをカリカリになるまで焼いたお菓子で、味は日本で小児用のお菓子「衛星ボロー」に似ています。

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ルークチュップ

鮮やかな色どりのルークチュップはポルトガルのお菓子マルチパンにアレンジを加えインゲンやココナッツを寒天で包んだタイのお菓子です。

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かつては王侯貴族などだけしか口にできませんでしたが、現在では市場などで簡単に買うことができます。

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これらマリーギマルドが関わったとされるお菓子をタイに訪れた際や、各地で行われるタイフィスティバルなどで見かけたら召し上がってみてください(*'▽')

2件のコメント


Kariby Thailand
Kariby Thailand
7月31日

初めまして。最近拝見するようになりましたが、よく歴史を調べられていてすごいな~と毎回感心しています(#^^#)。


今後も楽しみにしていますのでよろしくお願いします~!!


かりびー

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yoshiaki2007
7月31日
返信先

お褒めの言葉をいただきありがとうございます(*'▽')

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